第4回イベント『検見川送信所シンポジウム@さや堂』を開催 ┃検見川送信所を知る会

終了イベント<2009年>

第4回イベント『検見川送信所シンポジウム@さや堂』を開催
<2009年2月14日>

考えよう!検見川送信所 「指定文化財」か「登録文化財」か 検見川送信所さや堂シンポ 2009.2.14千葉市美術館

さる2009年2月14日、千葉市中央区の千葉市美術館11階講堂で第4回イベント『検見川送信所シンポジウム@さや堂』を開催しました。

会場となった千葉市美術館の1階は、『さや堂ホール』と名付けられた、1927年(昭和2年)竣工の旧川崎銀行千葉支店(その後、旧三菱銀行千葉支店を経て千葉市が購入し市役所支所として使用される)の建物です。千葉市の政令指定都市移行にともなって同所に中央区役所と市立美術館を建設することとなり、一時は取り壊しの危機にありましたが、建築学会等の要望もあって、最終的には区役所・美術館建物が上空に覆う『さや堂方式』で保存され、現在は千葉市指定文化財に指定されるとともに、コンサートが開催されるなどイベント施設として利活用されています。

『さや堂』見学会

『さや堂』の外観
『さや堂』の外観
『さや堂』を見学する参加者
『さや堂』を見学する参加者

シンポジウムに先立ち午前中は、保存の設計・監理を担当した建築家・岡部則之氏の案内による『さや堂ホール』の見学会を行い、30名を超える参加者が集まりました。

岡部氏によると、建物の内外装とも竣工当時の建材をできるだけ活かした保存工事を心がけたものの、金属部分は太平洋戦争中に国に接収されてしまったため、たとえば回廊に這わされている青銅の手すりは、保管されていたごく一部の部品を頼りに復元するなど、苦労も大きかったようです。

参加者は岡部氏の解説を興味深く聞きながら、建物の内外や回廊をくまなくまわり、先人のプロフェッショナルな技に思いを馳せていました。

検見川送信所シンポジウム

シンポジウムの参加者

午後からは11階講堂で、4人のパネラーとコーディネーターの安達文宏氏によるシンポジウムが開催され、60名を超える参加者を集めました。

パネルディスカッションの中で、「知る会」の仲佐代表からは「2008年秋に建築家協会のご尽力で内部見学会が行われたが、建物内外の保存状態は予想以上に良く、ぜひ周辺の整備とともに千葉市に対して送信所の保存を渇望したい」と意思表明がありました。

5名のパネリスト・コーディネーター

これを受けてコーディネーターの安達氏が「現在の送信所の所有者である千葉市は、保存に前向きな姿勢を見せていながらも、その保存方法については『市指定文化財だと釘一本打つことも困難なため、より保存しやすい方法を』という理由で国の登録文化財を推進しようとしているが」との千葉市の考えを説明したところ、元文化庁主任文化財調査官の堀勇良(ほりたけよし)氏からは「『指定文化財だと釘一本打つことができない』という理屈は心外だ」として市の考えに偏りがあることを指摘するとともに、指定文化財でも十分保存・利活用が可能であることを解説しました。

参加した市民からは「検見川送信所はぜひ保存して欲しい」との声が相次ぐとともに、会場に駆けつけた市会議員からも「今日のシンポジウムで得た情報や考え方を糧にして、保存を前提にした議論をするべく市議会に臨みたい」と心強い意思表明がありました。

コーディネーターの安達氏から「千葉市担当者の対応を見ていると、せっかく市内に世界に誇れる遺産があるのにもかかわらず、当の千葉市はその価値を評価せず、簡単に国に譲り渡そうとしている。千葉市財政は危機的状況であり、保存工事費用が捻出しづらい事情はわかるが、もう少し熱意を示しても良いのではないか。これからも千葉市と真摯に対話を重ねていき、双方が納得できる保存方法を探っていきたい」とのコメントが語られ、シンポジウムを終了しました。

パネリスト・コーディネーターのプロフィール(敬称略)

岡部 則之(おかべ のりゆき)
1967年 東京大学工学部建築学科卒業
1966~1967年 デンマーク王立建築大学大学院
1967年 クラオス・ブレマー建築設計事務所
1967~1968年 ロレンツ アンド ピアス建築設計事務所
1968~1996年 大谷研究室
1996年 岡部則之計画工房設立
2004年 (社)日本建築家協会(JIA)登録建築家
作品
[大谷研究室]
 
「国立環境研究所(旧国立公害研究所)」、「千葉市美術館・中央区役所」(日本建設業会賞、千葉市優秀建築賞)、「東京都立大学基本計画」等
[岡部則之計画工房] 高速道路料金所PC製トールゲート耐震設計及び修復等
堀 勇良(ほり たけよし)
1973年 京都大学工学部建築学第二学科卒業
1973~1981年 東京大学大学院生産技術研究所村松研究室
1981~1997年 横浜開港資料館
1997~2008年 文化庁主任文化財調査官
1982年 工学博士
2005年 日本建築学会賞(論文)
著書 「日本の建築明治大正昭和10日本のモダニズム」(共著)等
仲佐 秀雄(なかさ ひでお)
1954年 埼玉大学文理学部経済学科卒業
1957年 出版社勤務を経て民間放送局入社
1965年 日本民間放送連盟勤務 事務局長
1987年 日本新聞学会理事
1988年 「新聞学評論」(現・マス・コミュニケーション研究)編集委員長
1991年 山梨英和短期大学情報文化学科長、山梨県主任行政相談員
夏目 勝也(なつめ かつや)
1963年 日本大学理工学部建築学科卒業
1963~1973年 佐藤武夫設計事務所
1970~1981年 日本大学生産工学部建築学科講師
1973年~ 夏目設計事務所主宰
1996年~ 習志野市文化財審議会委員・社会教育委員歴任
(社)日本建築家協会(JIA)会員(本部理事・保存部会長、支部幹事・保存問題委員長歴任)
作品 「淑徳共生苑」(千葉市優秀建築賞)、「福祉複合施設じゆらく」(千葉県建築文化賞)、「I邸」(千葉県建築文化賞)、「流山市江戸川台西自治会館」(千葉県建築文化奨励賞)等
安達 文宏(あだち ふみひろ)
1976年 横浜国立大学工学部建築学科卒業
1976~1977年 (株)北村・鶴巻設計事務所
1977~1986年 (株)鶴巻設計事務所
1987年 安達文宏建築設計事務所設立
2006年 (社)日本建築家協会(JIA)登録建築家
2007年 (社)日本建築家協会関東甲信越支部 保存問題委員会委員
作品 「千葉県木材市場(協)販売用建物」(千葉県建築文化奨励賞)、「日本ファイリング(株)柏技術センター」、「青葉の森の家」、「東寺山の家」等

 

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