ニュース<2008年>

千葉市が「検見川送信所の調査費用を来年度予算に計上」
~2008年12月2日、千葉市議会・経済教育委

千葉市議会の経済教育委員会が2008年12月2日に行われ、継続審議となっている検見川送信所を千葉市指定文化財にするよう求めた日本建築家協会の陳情が議題に上がりました。委員会は再び継続審議を決めましたが、調査前に関わらず、国登録文化財という結論があることに異論が飛び、教育委も「調査をしてから決めたい」と国登録文化財ありきの考えをいったん差し戻しました。

また、来年度に調査費用を計上したことも明らかにしました。修復費用は目視による概算で5~7億円になる見通しです。

さらに2008年11月26日に行った内部見学会の動画も話題に上がりました。

2008年9月議会では「国登録文化財が妥当」と千葉市が答弁
2008年9月議会では
「国登録文化財が妥当」と千葉市が答弁

千葉市では2008年9月の議会で国登録文化財を念頭に保存、利活用を考えているとし、市文化財の指定に難色を示していました。市議会議員も保存には賛同しながらも、その方法は慎重に議論すべきとの判断から全員一致で継続審査としました。

2日の経済教育委員会では冒頭、教育委がその後の対応を説明。さる10月9日、31日、11月31日の3回、建築家協会側と話し合いを持ったことを明らかにしました。教育委側は「建物の利活用を勘案すると、国登録文化財という手法が有効。それを前提に利活用を含めた地元の要望を尊重したい」という従来通りのスタンスを披露しました。

なお地元自治会をはじめ「知る会」や建築家協会では、「検見川送信所は地元・千葉の誇れる財産であるため、保存主体は国ではなく千葉市にしっかり行ってもらいたい」という主旨から、千葉市側の考えと異なる「千葉市指定文化財」の指定を望んでいます。

国登録か市指定かは調査後に決めたい-会議録

【注】
委員会のルールにより、発言者は3回までと決められているため、発言者は複数の質問を同時に行います。しかし、この方法では論点が分かりにくくなってしまうため、便宜上、一問一答形式で掲載します。

小西市議(市民ネット)
「11月19日に行われた文化財保護審査会での取り扱いはどういうものか?」
教育委
「議案としては説明していないが、調査費用を次年度予算に計上した。8月にはメンバーが視察している。建築の専門家は『建築的にも重要で歴史的にも価値があるが、破損が大きく、修理するのは大変だろう』と話された。大切に保存し、積極的に活用してほしいとの意見が聞かれた」
小西市議
「陳情者はどんな活用のアイデアを持っているのか? 地元のヒアリングは行ったのか?」
教育委
「今後、シンポジウムを行うと聞いている」
小西市議
「審議会の議案はいつかけられるのか?」
教育委
「学術的な調査を行ってからだ。具体的な時期は特定していない」
小西市議
「迅速な対応を望む。調査は協会が行うのか?」
教育委
「来年度に予算を計上しているところ。調査は私どもで行う」
熊谷市議(民主)
「調査も済んでいないのに、なぜ国登録文化財という話になっているのか? 結論ありきのように見える」
教育委
「ひとつの手段である。建築家協会以外の地元、連合町内会、守る会(※編者注/「検見川送信所を知る会」の誤り)も利活用を求めている。国登録文化財なら修繕もしやすい。地元の要望を尊重したい」
熊谷市議
「各団体からの意見は集約しているのか」
教育委
「いろんな議案がある」
熊谷市議
「ひとつにまとまるよう尽力すべきだ。集約化してほしい」
教育委
「登録文化財か市指定文化財かは平成21年度に調査して検討していく。方向性を早急に決める必要はないではないか」
市原市議(自民)
「市の大事なお金を使うのだから、地元の要望を大切にして欲しい。保存しながら使うのは良い。よく検討していきたいので、今回は結論を見送りたい」
佐々木友市議(共産)
「知る会のホームページによると、10月26日に内部見学会を行ったという。動画を見たが、内部には様々な工夫があり、歴史を感じさせるものだった。結論ありきで進めるべきではない。こうした建築は地域の魅力というだけでなく、千葉市の魅力である。早急に検証を行い、利活用する手立てを考えるべきだ」
佐々木久市議(新政ちば)
「権威ある日本建築家協会、地元、地域団体が要望が出るなど関心の高さを物語っている。建築家の方は、その見地から建築当時を維持すべきだというが、より幅広い保存を考えたい。また、用地の活用も定まっていない。教育委員会と日本建築家協会は3回に渡って会合を持たれている。次年度の第一回議会をメドに一定の方向性を見い出すことが望ましい。継続審議としたい」
三瓶市議(民主)
「送信所は平成1ケタ台に文化財の議論が持ち上がったと記憶している。地域文化財の新設をきっかけに、この議論が出たのだが、本来ならもっと早くに考えるべきではなかったか?」
教育委
「昭和56年に閉局となり、平成3年に千葉市所有となった。当時、中学校用地として確保したもので、解体する方針だった。平成8年に国の文化財保護法が改正され、文化財としての見直しの動きがあったが、中学校用地という認識だったので、調査をしなかった。その後、生徒数の動向を見て、中学校は必要ないということになり、現在に至っている」
三瓶市議
「私は議会の一般質問でも、この問題を取り上げた。国登録の方がよいのではないかと考える。陳情は市指定ということだが、どういった意図か聞いているか?」
教育委
「当時のままに保存することを考えれば、市指定の方が完全と考えられている」
三瓶市議
「市指定だと、電球1つ取り替えるのも難しいとも聞いた」
米持市議(自民)
「活用するなら、いくらかかるのだ?」
教育委
「本年度は予算がないので、調査していないが、株式会社文化財工学研究所に目視によって概算を出してもらったところ、5~7億円かかると聞いた。ほかに、土が1.5メートルほど窪んでいるので、整地にも金はかかる」
米持市議
「全体では15億円かかるのでは」
議長
「決を取りたい。継続審議に賛成の方は挙手してほしい」

(全員挙手で継続審査が決定。)

 

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